34年前、学生時代とは180度違う世界へ
見たことの無い物や知らない単語、これからどれだけの量の知識や技術を習得しなければならないのか?
入社2日目に既に感じた焦り。
現役だった父親からは「社会に出たら厳しい事の連続。少々の事でくじけるなよ。」と言葉をもらった。
すぐさま「少々の事」がやってきた。
上司に10枚程のレポート用紙を渡され、
「これコピーしといて」と頼まれた。
コピーを終わらせ持って行くと
「何で一枚ずつなんや!」と怒られた。
枚数を聞かない私も悪かったが、上司も枚数を言ってくれていない。
そこで「枚数を言って下さらなかったので」と言うと どうなるだろう。
「言い訳をしない」と言う事が美徳のように思われていた時代。
「すみませんでした」
そう言って またコピーをしに行った。
父親の言う「少々の事」の意味がわかった。
それから半年、「少々の事」はいろんな場面で起こり、私はその都度 自分に「折り合い」をつけながら仕事をした。
しかしある日、違う部署の上司から
頼まれた通り仕事をしていると、自分の上司に「これ間違ってるぞ!」と言われ、今まで溜まってきたモヤモヤが一気に爆発
「これは○○さんに こうするよう頼まれてしました!」と言った、次の瞬間
「言い訳するな!」
と一蹴され、
「頼まれた時に、ここがおかしいと思わないんか?」と怒られたが、
新人の私にはわからなかった。
心が折れそうになりながら仕事をしていたら、後日大失敗をしてしまった。
その時の上司はその秋に転勤して来た方。
真っ先にその上司の所に行き、自分のミスを報告し、謝罪した。
すると、「何故そうなったのか、自分がどういう判断でしたのか説明して。」と言われた。
変な言い方だか「言い訳をしてごらん」と言われているようで、
雷が落ちる!と思いながら謝りに行ったのに、キョトンとしてしまった。
その上司は失敗をした原因を突き止め、次から失敗しないように話をして下さった。
失敗したことはショックで落ち込んだが、「次は絶対に失敗しないようにしよう」と救われた気がした。
今になってみれば、私は前者の上司が悪いとは思わない。
「仕事は時間との戦い」
職種にもよるが、現場で悠長に新人に教えている時間もない。
コピーの件も次からは「何部ずつですか」と聞けるし、上司の言った事を再度確認する事も出来るようになった。
理不尽な事を言われるが、昔はそれで仕事を覚えて来た。
また、後者の上司のように時には「余裕」を持って新人に接する事も必要なのだ思う。
新人をただ叱り飛ばすだけではなく一緒に考える。
親身になってもらえると、仕事をする意欲も湧き、仕事も「受け身」でなく「先回り」して動けるようになると思う。
お二方には沢山の事を教えて頂いた。
「社会人とはこうあるべき」と言うのではなく、
いろんな形に変化できる柔軟さと
理不尽だなと思う時でも そこから何かを「学ぼう」という姿勢を忘れない事。
お二方に出会えた事で仕事を続ける事が出来た。
あの頃は「感謝」する事も出来ずにただ突っ走っていたが、
今振り返ると悔しかった事も嬉しかった事も全部ひっくるめて「良い思い出」である。
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